このテキストは以前のギャラリーの企画展の時に壁に貼り出されたもので、来場者しか読んではいないものでした。
少し変更加筆をしてます。今回、ギャラリーの企画展が本日最終日だということもあり、今後の事を書く前に読んでいただこうと思って載せました。少し長いですが、どうぞ。

 ギャラリーの初めての展示は京都在住の画家有田匡さんの個展でした。まだ、建物は工事中で、一階のホテヴィラもできていないし入る予定も無かった頃の話。展示用の壁もない中での展覧会はとても不思議な感じになりました。小さい方の部屋にストーブを置いてその周囲に椅子を配置して、話ができる感じに。屏風作品なども展示され緑も置かれ、少し照明を落としてとても良い雰囲気でした。
 ちなみに有田匡さんは私の中学時代の同級生で、多感な頃を一緒に過ごした大切な友達の一人です。主に鉛筆で動物の絵を描く作家ですが、繊細な陰影が彼独特の孤独を表しているようで胸に迫るものがあります。友人でもありますが、好きな作家の一人でもあります。また、いつか展示をしたいと思っています。

 暗中模索の中、1階に古くからの友人の廣海緑朗がノンベクキッチンホテヴィラを開店する事となった。店舗工事をアバンギルドが引き受けた。2階は自分で内装を工事しながらの状態で特に何もできず。しかし昔からの友人でミュージシャンのアリスセイラーさんからの紹介で映画監督の友松直之さんを紹介される。そして、驚異のイベント「劇場版レイプゾンビ全作品一挙公開」へとなだれ込む。レイプゾンビの作品の細かい説明は避けるが、5作品もあり密かな人気作品なんだと思った。確認の為にレンタルビデオ屋で借りようと思ったが近所のお店には無かったので、オークションで同監督の「君はゾンビに恋してる」を購入。最後に身体がバラバラになったヒロインのセリフがとてもいかしてた。
   
 いよいよ、レイプゾンビ上映会。このイベント異種格闘技戦のようになりスタッフからイベント出演者まで実はすごかった。監督をはじめ映画に出演している女優(衣緒菜さん、深琴さん)男優(中沢健さん←彼は小説も書いていて「初恋芸人」という小説はNHKでもドラマになっているし、最近ではテレビにもよく出ている)も来てくれた。しかも1台の車にギュウギュウ詰めで(笑)そして、主題歌を歌っていたアリスセイラーさんもミニライブをしてくれた。そのPAが京都のバンド、チルドレンクーデターのバンマス細井尚登さんだったり。トークショーが2回あったのだが、1回目はミュージシャンがレイプゾンビを語るって事で、あのEP-4の佐藤薫さんまで出ていただいた。

 レイプゾンビ上映会の1回目のトークショーは音楽家の方々という無茶ぶり的な展開だが面白かった。EP-4の佐藤薫さん、チルドレンクーデターの細井尚登さん、そしてアリスセイラーさんによるレイプゾンビのトークショーってそう簡単に見られるものではない。しかし、このトークショーには個人的な思い入れが多少ある。実はこの上映会の前に長らく封印されていたかの如く眠りについていたEP-4が「5月21日」に京都のKBSホールで復活をした。
そこにはこのトークショーに出演していた人が全員いた。green&gardenをどう使っていこうか考えていた私の目の前に、物販スペースで歌い踊るアリスセイラーさんが飛び込んできた。

 久々にアリスセイラーさんを見て頭の中を混乱させながらととぼとぼと歩いて帰る途中にお酒を飲んだ。多少、理解ができない彼女の活動に戸惑いながらも、考えてアリスセイラーさんに電話をする。何十年も前に教えてもらった番号の彼女の実家に。そして本人が出た。そして久々だが私の事を覚えていてくれた。そこで今やろうとしている事の話をして協力してもらう事となった。面白い事そして強烈な事がしたいと伝えた。その第一弾がレイプゾンビ上映会となったのだ。
あの夜は、KBSホールで見た、懐かしい顔と彼らが現役でやり続けている事を感じ、もう少しだけ自分も何かをやろうという気になった夜だった。EP-4のバックには山本精一、田畑満、家口成樹など知った顔が並んでいた。

 ほぼレイプゾンビに関係の無いミュージシャンを豪華に引っ張り出してのイベントは終了し、打ち上げはギャラリーの横の食堂酒場「たなか」で行われた。ちなみにその日のスタッフは物販に、その時は地獄の季節のメンバーだった現リキッドバタフライのZINとカフェ出店にVICEのギタリストでもあるカフェミィチョの龍敦、そして占いブースを設けてそこにはJON(犬)までいた。昔は今あるギャラリースペースの壁は無かった。
レイプゾンビファンは女の子もいて、なかなか不思議な光景だった。その時にアンケートを取っていたのだが、「腰が痛い」「寒い」が多かった。床にマットを敷いてその上で映画を見せていた・・・・。反省しかなかった。しかし、お金が無かった。

    
 年が明けスペースでは餅つき大会だとか子供向けのイベントなどが緩やかに行われたりSEALDsのメンバーなどによる民主主義を考えるイベント、映画の上映会などが続くが、ある朗読劇で潮目が変わる。それは仲代奈緒さんの朗読劇だった。その劇というより、それに関わっていたスタッフの一人から1枚のチラシを見せられる。緊縛のイベントのチラシだった。「こういうの興味ありますか?」という質問だったと思う。
チラシは緊縛師有末剛さんによるイベントの物だったのだが、関西で色々な事ができるスペースを探しているとの事だった。私自身、興味も何も知らない世界ではあるが、断る理由も無いので機会を作って話をしましょうとなる。後日、ギャラリーにて初めて有末剛さんと会う事となった。

 初めて有末剛さんと会ったのは夏の暑い日だった。写真のイメージでサングラスをかけた有末さんは気難しい怖いイメージがあったが、実際の人間は気さくな人の良さそうな男性であった。打ち合わせはここで何をするか?という事だった。それでギャラリーなので写真展をする事になり、その流れで色々なイベントをスペースでしようという事にもなった。
イベント内容は体験緊縛、緊縛デッサン会、緊縛教室、緊縛映画(レイプゾンビの友松監督作品)の上映会、トークショー(ゲストが赤江かふおさん)そして東京縛音舞のライブなどであった。
 見た事もない緊縛への興味は広がるが、目の当たりにするまでは、印象はそう変わるものでは無かった。
        
 写真展が始まり、色々なお客さんが来たが、オープニングの時に画家で小説家でもある山口椿さんが来られたのは印象深い。神戸での演奏会帰りにそのままギャラリーに立ち寄って下さりチェロを弾いて帰られた。不思議な空気感の人だった。不思議な空気感といえば、昔から知っていて行った事もある高安ラーメンの社長さんがこられたのも印象的な話だ。Facebookで有末さんが上げた画像から芋づる式にみんなが高安ラーメンを食べに行った。そして写真展の最中は有末さんとのお酒の日々だった。
 最終日は個人的にとても印象的で搬出作業をしながら昔話なんかを聞き皆で三条会商店街の肉屋の焼肉弁当を食べた。個人的には販売や集客を含め敗北感の残る展示となり凹んでいたが、和やかな空気感が癒してくれた。
   
 ギャラリーを立ち上げる辺りから声掛けをしていた、中村鱗さんという作家がいたのだが、後日ご近所だと知りギャラリーで御主人と3人で会い話をする事になった。写真家の御主人は中村趫さんという名前で、日本で最も伝説という言葉が似合うバンドの元メンバーでもあった。そして、ギャラリーの第2弾の展示は中村趫写真展となった。この頃のギャラリーは展示にイベントを掛け合わせるのが基本となり、この展覧会でもイベントをする事になった。写真展の作品が映画「アリスが落ちた穴の中」のスチール写真という事もありその関係者に混ざってもらった。映画の監督の寺嶋真里さんに出演者のロウズ&ギグルスであった。ちなみに寺嶋監督は私の家内の学生時代の先生でもあった。縁とはおかしなものである。昔の学生が寺嶋真里さんの元に集まりプチ同窓会のようになっていた。
     
 イベントとしてスペースの一角にロウズさんのお店トゥココットを出店してもらい雰囲気を盛り上げてもらった。イベントは上映会とトークショー、そしてダークメルヒエンショウであった。ショーではPAを担当したが、まさかのとちりで歴史に汚点を残したが、ギグルスさんの気転によりバレずに済んだ(のかもしれない?)。場数を積んでいる人間は強いなぁと自分の失敗を棚に上げて関心をする。で、この展覧会会期中はロウズさんとお酒を飲んだ。ここら辺りで酒飲みがばれてギャラリー一階の駐輪場は空いた酒瓶だらけとなる。しかし、有末さんもロウズさんも一緒にお酒を飲んでいて楽しい。楽しい人と飲むのはとても幸せである。寺嶋監督との楽しい話もあるがそれは秘密にしておく事にする。体験した人じゃないと分からないし。

 有末剛さん中村趫さんと個人自体がコンテンツである様な人の力を借りて展覧会をやってきたが、いよいよ一人で企画をしたグループ展「少女乃夢」が開催される。サブタイトルはSadistic Dreamというものだった。
 内容はタイトルのままであるが、ギャラリーをやろうと決めた時から声かけをしていた作家さんに集まってもらった。参加してもらった作家の中で印象に残ったのは中井結さんで、彼に初めて会ったのは東京だった。私が仕事で東京に行く時の常宿がある場所の御徒町の駅で待ち合わせをして上野の中華料理屋で話をした。年齢もほぼ同じ彼とは音楽の話ばかりをして美術の話といえば画廊と作家の関係を色々と聞いた気がする。それを面白おかしく説明する様に好印象を覚えた。

 中井さんはPUNKっぽいと思った。たぶんではあるが体制的な物事を嫌う性質があるような気がする。そして、何より新しい作家を発掘していくのが好きなんだという気がした。ずっとネットにへばりついているのかもしれないが。彼は作家活動だけで生活をしていくという生活を送っているのだが、後々彼の行動からは色々なヒントをもらう事になる。なのでギャラリーをやる上で非常に刺激となる人物ではある。ただし、言葉が過ぎて敵が多い。それも面白い(笑)近い人でも彼の事を苦手だという人もいるが個人的にはそれも楽しめる。ここで、あえて書いておくが、私は中井さんの事を嫌いではない。むしろ好きな人間だ。
     
 この展覧会では地下アイドルトークショーのもやった。近々地下アイドルを辞めるという姫乃たまさんという東京在住の地下アイドルだった。父親が私と同年代の元バンドマンで私もそのバンドの事は知っているし、そのバンドと近いバンドとは共演をした事もある。今の閉塞した世の中で最も「少女」らしい存在と個人的に思ったのが地下アイドルだった。その自虐的なネーミングといい、若さ特有の勘違いといい、欲望から孤独から何から何まで少女のエッセンスを混ぜて無茶苦茶にした様が、私の中で現代の少女の中の少女が地下アイドルの印象であった。あまり多くの地下アイドルを知っている訳ではないが、地下アイドルの中でも姫乃たまさんは冷静で頭の良い女の子だと思った。

 本当はこのトークイベントは当時村田タマで活動をしていた写真家の珠かな子さんも呼んで「タマとたま」というタイトルにする予定だったが、村田タマさんの都合が合わずに流れた。逆から読むと「またとマタ」である。
 初めて姫乃たまさんと会ったのは東京の渋谷でベタに駅前のハチ公前で待ち合わせした。待ち合わせ場所には子犬の様な姫乃たまさんがいた。そこから近くの「おしゃれが一周してよく分からない」(←姫乃たまさんによる表現)カフェで打ち合わせを兼ねて挨拶をした。話をした印象は頭の良い女の子だった。そしてカフェでマグロ丼を食べていた。それと渋谷で会った事が印象に残った。渋谷のカオスに少女はよく似合う。

 トークショーの当日、適当に話す事は考えていたが、貰い物の「獺祭」の一升瓶が有ったので、トークショー中に全部二人で飲むライブにしようと思った。しかし二人だけではなく一部お客さん、にも飲ませる行動に出た。作家の雛菜雛子さんも交えたトークはグダグダに終わり、そのまま木屋町のアバンギルドにお客さんと一緒に流れた。アリスセイラーさんやチルドレンクーデターがライブをしていたからだ。ライブ後のトークショーに姫乃たまさんも混ざり、お酒を飲んでラーメンを食べてギャラリーに帰る。姫乃たまさんはそのまま一階の管理人室に宿泊した。
 次の日にイベント出演の為に大阪にいく彼女と大宮駅に行こうとする場面を向かいの原田酒店の御主人さんに見られたが、大いなる勘違いをしてると思った。

 この展覧会に参加してくれた作家は須川まきこさん、雛菜雛子さん、中村鱗さん、中井結さん、宮本カナさんだった。須川さんと雛菜さんは東京のヴァニラ画廊で作品を見てお願いをした。中井さんと中村さんはネットで見て。宮本さんは中井さんのお友達という感じだったが面白い作品を描くので、参加していただいた。
 しかしこの展覧会で感じたのは冬の展示のこのスペースの寒さと年末は人が来ないという状況だった。そして、後半は体力がもたず風邪をひき最終日などは作家さん(中井さん中村さん)任せでギャラリーには顔を出さなかった。これで2015年は終わった。来年は体力をつけようと思った。

 2016年となり、ギャラリーの年賀状を作ってみたが、絵を須川まきこさんに頼んだ。快く引き受けてくれエロ可愛いお猿さんを描いてもらった。    
 展示に関しては、色々と忙しくこの年の初めての展示が5月の日野まき・中井結二人展となった。中井さんは京都に長期宿泊をして毎日在廊してくれた。くれたというか毎日絵を描いてそれを売っていたから仕事だ。彼は葉書大の大きさの作品をさくさくと描き、それが原画で安く売られてたので結構売れた。毎日、少なくなり描いては足して、また売れての繰り返しとなった。それ以外の作品や物販もよく売れた。何より広報含めて作家さんが皆さん活発に動いてくれた印象がとてもある。
 しかし主役は二人展ではあったが、ゲスト人気が驚くほど高かった。濱口真央さんの作品だけ見て、濱口さんの物販を買って帰られたお客さんもいた。リサメメットさんの展示の服をいつまでも眺めている若い女性や化甫さんの人形をいつまでも眺めている女性。主役の中井さんはギャラリースペースでせっせと絵を描き、来るお客さんに展覧会の説明をする。そして、その物真似を酔ってするのが私の定番となった。
 この展覧会で感じた事は当たり前だが、キュレートする人間の意気込みとそれを実現する計画性はそして様々な実行力はとても重要だという事。しかし、作品がどれも良かったという事は大きかった。これはいつだって重要だ。参加作家の多くは今後もgreen&gardenでの展示が決まっている。
  
 そして今年二回目の展示が珠かな子写真展となった。そのいきさつはたまたま私が仕事で行った神保町でたまたま彼女が写真展をやっていた事に端を発する。神保町画廊はガラス張りで表から中が見える。その前を通りかかった時に目に留まったのが彼女の作品だった。ギャラリーをやる事になった私はSNS上より彼女にオファーをして了解を得た。その日以来、神保町画廊さんは東京に行った際にはのぞく画廊になったという後日談も有る。
前回の展示からそう時間が空かない状態でバタバタと準備して会期となった。DMの発送や宣伝は満足いくようなものでは無かったが、仕事をしながらでの状態だと限界がある。満足がいかない事が続くようで有れば、スペースを閉めたり運営を辞める事も視野に入れだした。展覧会会期中は雨の日が多かった。ツキにも見放されたかと思った。そしてやはりお金が無かった。

 ギャラリーgreen&gardenについて つづく

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